セミナー/シンポジウム

ガブリエル教授「資本主義の未来」を語る

対談 左からガブリエル教授、十倉会長

シンポジウム 左から藤井総長、ガブリエル教授、中島研究主幹

 21世紀政策研究所では、5月8日、東京・大手町の経団連会館でドイツのハンブルクにあるThe New Institute(TNI)のアカデミックディレクターも務める、ボン大学のマルクス・ガブリエル教授を迎え、十倉会長との対談および経済広報センターとの共催によるシンポジウムを開催しました。

 対談では、中島隆博研究主幹(東京大学東洋文化研究所所長)をコーディネーターとして、十倉会長とガブリエル教授が、世界の現状分析、資本主義や科学技術との向き合い方、未来社会のあるべき姿などについて、意見交換しました。

 続くシンポジウムでは、「資本主義の未来を考える」をテーマに掲げ、ガブリエル教授および東京大学の藤井輝夫総長による基調講演と、パネルディスカッションを行いました。経団連会員企業・団体の役職員や、ガブリエル教授とともに来日中のTNIのメンバーをはじめ、100人以上が参加し、両氏の見解をめぐり、活発な質疑応答が行われました。基調講演においてガブリエル教授は、社会に対する倫理的な貢献こそが最大のビジネスチャンスになるという「倫理的資本主義」の考え方を示した後、企業がとるべき倫理的行動の方法論などについて議論を展開し、こうした方向性が経団連の目指す「社会性の視座」に立脚した企業行動の実現と関連が深いと論じました。藤井総長は、多様な背景を持つ人々との対話を通じ、よりよい将来が形作られるとのコンセプトのもと、自身の手掛ける海洋観測プロジェクトOMNI(Ocean Monitoring Network Initiative)をはじめ、東京大学のさまざまな取り組み事例を紹介しました。

 パネルディスカッションでは、中島研究主幹の進行のもと、企業や大学が社会に対して新しい価値を提供していくための方策や、その際に芸術を含むリベラルアーツが重要となる可能性など、多岐にわたる議論がなされました。

 21世紀政策研究所では、これまでも国際情勢の変化や技術革新、感染症の拡大などが資本主義・民主主義に及ぼす影響について鋭意研究を進めてきました。今後、ガブリエル教授が率いるTNIのメンバーとの間で共同研究を進めることとしています。今回の対談やシンポジウムで獲得した知見も、その一環として活用していきます。

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