出版物

2021/11/30

EUと新しい国際秩序

須網隆夫・21世紀政策研究所 編
日本評論社(2021年11月発刊)

当研究所の欧州研究会は、『EUと新しい国際秩序』(須網隆夫+21世紀政策研究所編、日本評論社 2021年)を出版しました。この研究プロジェクトでは、BrexitがEUと国際経済秩序に及ぼす影響をテーマとして、須網隆夫研究主幹(早稲田大学教授)をはじめとする欧州の法制度、政治、経済、歴史の専門家チームが3年にわたり議論を重ねてきました。本書はその集大成であり、企業がEUや英国と付き合う上でのヒントを提供してくれます。
第一に、EU-英国通商関係や英国の移民政策を分析し、英国がEUへのゲートウェイであり続けるかどうかを検討しています。第二に、Brexit後のEUが、経済格差やポピュリズムの台頭、COVID-19感染防止、「欧州グリーンディール」といった課題への対応をとおして、むしろ求心力を高めている側面を浮き彫りにしています。第三に、Brexit後のEUと域外の第三国(日米中)との関係を分析しています。
さらに、加盟国政府とEU市民が気候変動対策を成長戦略と捉え協力して推進している状況も分析するなど、一般に流布するEU悲観論とは異なアプローチを試みており、Brexit後のEUと国際社会の将来を考える上で必須の論点を包括的に提示した研究業績となっています。

【目次】

序 章 本書の目的と構成
<須網 隆夫 早稲田大学教授>

第1章 Brexit後の世界経済秩序──「2020年代のグローバル市場」
<須網 隆夫 早稲田大学教授>

第2章 Brexit後のEU・英国関係──英国は引き続き欧州のGatewayであるのか
第1節 Brexit後の英国・EU関係
<渡邊 頼純 慶應義塾大学名誉教授>
第2節 英国の移民政策
<土谷 岳史 高崎経済大学准教授>

第3章 Brexit後のEU──EUは今後、発展できるのか
第1節 EUが直面する困難
第1項 EUの域内格差の現状と新型コロナ危機
<太田 瑞希子 日本大学准教授>
第2項 人の移動と反移民・ポピュリズム
<土谷 岳史 高崎経済大学准教授>
第3項 Brexit後のEU──EUにおける「法の支配」の危機
<須網 隆夫 早稲田大学教授>

第2節 EUの発展条件は整っているのか
第1項 ユーロの今後: ユーロ制度改革の成果と課題①──金融同盟
<太田 瑞希子 日本大学准教授>
第2項 ユーロの今後: ユーロ制度改革の成果と課題②──
    財政同盟の課題と復興基金の意義
<伊藤 さゆり ニッセイ基礎研究所研究理事>
第3項 EUの成長戦略「欧州グリーンディール」の課題と方向性
<伊藤 さゆり ニッセイ基礎研究所研究理事>
第4項 BrexitとCOVID-19危機以降の欧州ガバナンス──
    EU/欧州諸国における連帯の現状と課題
<福田 耕治 早稲田大学教授>

第4章 EUから見た国際秩序──今後のグローバル秩序はどうなるのか
第1節 EUから見た国際秩序──EU中国関係
<田中 素香 東北大学名誉教授>
第2節 トランプ政権からバイデン政権の米・EU関係
<渡邊 啓貴 帝京大学教授>
第3節 今後の国際秩序にとってのEU-日本関係
<中西 優美子 一橋大学教授>

第5章 日本が世界における役割を果たすために
<須網 隆夫 早稲田大学教授> 

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