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2013/07/25

ステート・キャピタリズムとしての中国―市場か政府か

渡辺利夫+21世紀政策研究所監修、大橋英夫編
勁草書房(2013年7月25日発刊)

中国経済体制の特殊性を象徴する「中国模式(中国モデル)」は存在するのか。中国共産党が支配する政治経済体制の現状と将来を展望する。果たして共産党政権は生き残れるのか。

中国経済は鈍化傾向にあるものの依然として高い成長を続けています。この背景には、国有企業や地方政府など公的部門に依存する「国家資本主義(ステート・キャピタリズム)」とも呼べる独特の経済体制つまり「中国モデル」の存在が指摘されています。しかしながら、投資(公的資本形成)比率の高さ、所得格差の拡大、環境汚染、腐敗の蔓延、デモの頻発による政治体制のゆらぎなどを契機に、「中国モデル」の有効性・持続可能性に対する疑問や論議が高まっています。
 こうした問題意識のもと、過去5年にわたり実施してきた21世紀研中国研究プロジェクトの最終年度テーマを「市場か政府か」として、国営企業、民間企業、地方分権、格差、対外関係、政治体制など、総合的見地から「中国モデル」の評価・分析を行うとともに将来展望を示しました。

【目次】

監修者まえがき(渡辺利夫)

第1章 中国は「中国モデル」から訣別できるのか [加藤弘之]
 第1節 中国モデルをめぐる論争
 第2節 中国資本主義の4つの特徴
 第3節 中国モデルは持続可能か
 第4節 「二重の罠」からの脱出

第2章 中央企業の役割と課題 [朱 炎]
 第1節 中央企業の形成と構成
 第2節 経済における中央企業の役割と貢献
 第3節 中央企業の優位性と経営環境
 第4節 中央企業の課題と解決策

第3章 中国の分権化と国家資本主義の行方 [杜 進]
 第1節 体制移行と分権化
 第2節 地方分権化と市場の発達
 第3節 分税制改革後の中央・地方関係
 第4節 国家資本主義の超克と分権化の推進

第4章 大衆資本主義 ─もう一つの「中国モデル」 [丸川知雄]
 第1節 民間企業の発展
 第2節 民間企業に関する政策
 第3節 大衆資本主義の実像
 第4節 大衆資本主義というモデル

第5章 中国不平等社会の持続性 ─かみ合わないパズルをどう組み合わせるか [三浦有史]
 第1節 拡大する所得格差
 第2節 再分配政策と成果:スローガンから行動へ
 第3節 習近平体制を取り巻く経済社会構造
 第4節 不平等社会の持続性をどうみるか

第6章 対外経済発展と「中国模式」 ─人民元の国際化のインパクト [大橋英夫]
 第1節 対外経済発展と人民元
 第2節 人民元の国際化の展開
 第3節 人民元の国際化の背景
 第4節 人民元の国際化のインパクト

第7章 中国共産党は体制を安定させるために何をしているのか
    ─変化への適応と同盟の形成 [加茂具樹]
 第1節 体制を安定させるための模索
 第2節 体制を安定させてきた構造
 第3節 体制の安定を維持できるのか

索引

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