出版物

2013/07/08

金融依存の経済はどこへ向かうのか 米欧金融危機の教訓

池尾和人+21世紀政策研究所編
日経プレミアシリーズ/日本経済新聞出版社(2013年7月8日発刊)

当研究所の2012年度研究プロジェクト「金融と世界経済-リーマンショック、ソブリンリスクを踏まえて-」(研究主幹:池尾和人 慶應義塾大学経済学部教授)の成果をもとにした書籍が、日経プレミアシリーズ『金融依存の経済はどこへ向かうのか 米欧金融危機の教訓』(池尾和人+21世紀政策研究所編、日本経済新聞出版社)として出版されました。

【目次】

はじめに(池尾和人)

第1章 金融拡大の30年間を振り返る(池尾和人)
投資ブームの終焉 / 野蛮人達の活躍 / 銀行家の失敗 / 証券化の進展 / 金融派生商品の開発 / 「新しい金融」業の台頭 / 収益機会の枯渇と金融の肥大化 / 「市場に優しい」金融政策 / 行き過ぎた金融緩和 / 2007-09年の金融危機 / 影の銀行システム / グローバル・インバランスの拡大 / 輸出主導型発展路線の問題性 / 公的債務の膨張 / 財政再建のために必要なこと / 金融の社会的役割負担

第2章 グリーンスパンの金融政策-リスクテイクへの働きかけは経済成長を促進するか(翁 邦雄)
グリーンスパンが金融政策で狙ったもの / 連邦準備制度理事会議長としての大きな影響力 / リスクテイク促進は経済成長を高めるのか / 金融への規制・監督は金融システムを不安化させる-市場への強い信頼 / バブルは崩壊するまで放置する-金融政策の後始末戦略 / 小さな確率の大きなリスクに備える-リスク管理アプローチ / デフレはバブルより怖い-バブル覚悟の低金利政策 / 90年代の日本の経験が煽った恐怖感 / 財政赤字への強い懸念 / 市場にリスクをため込んだグレートモデレーション / 金融政策はどういう経路でリスクテイクを促進したのか / 金融セクターに偏ったリスクテイク促進効果 / 米国の生産性動向をどうみるか-グリーンスパン時代と今後の展望

第3章 世界的バランスシート調整がもたらす「日本化現象」-アベノミクスで脱「日本化」は可能か(高田 創)
信用拡大とその反動、バランスシート調整は「人類の性(さが)」 / バランスシート調整の段階的プロセスの3原則 / 日本の債務肩代わりは完了した / バランスシート調整に不可欠な自国通貨安と先行き期待改善 / 日本の1990年と欧米の2007年が転換点 / バランスシート調整に伴う市場の停滞の共通現象 / 「日本化現象」と戦後初の日米欧同時の民間の資金余剰状態 / 第二の日本化、金融政策の日本化とは / 第三の日本化、日本化する欧米金融機関行動 / 「日本化」とは金融政策の為替誘導化と財政ファイナンス化 / クレジット商品への資金シフトは第四の日本化 / 第五の日本化、グローバルな金融規制は「日本の銀行になれ」 / 「5つの日本化現象」がもたらす「金融抑圧」 / 日本型金融モデルの再考 / 日本そのものがSWFだった / 日本は世界に先駆けて「脱日本化」できるか / アベノミクスと脱失われた20年の第一歩

第4章 グローバル・インバランス-金融危機と日本の企業部門(後藤康雄)
2つの問題意識-危機の理解とわが国の位置づけ / 貿易取引の概観-突出するアジアの対米黒字 / 資本取引の概観-米欧間での両建ての拡大 / 金融危機のメカニズムを考える / 経常不均衡を原因とみるインバランス仮説 / 金融緩和に着目する流動性仮説 / 両仮説の関係-似て非なるメカニズム / 手がかりとなる当時の金融市場の動き / 日本からみるグローバル金融危機 / 経常収支の動向-産業構造の視点をまじえて / 貯蓄投資差額は過剰貯蓄というより投資減退 / わが国の位置づけ-危機を促したのか、巻き込まれたのか

第5章 アベノミクスと日本財政を巡る課題-現実の直視から、財政再建は始まる(小黒一正)
アベノミクスの「幻想」が覆う日本経済 / 2%のインフレ実現でも、消費税率は25%を超える / 市場の期待と長期金利の関係 / 財政危機に陥ったときの政府債務の再構築 / 国債のリスク・プレミアムが顕在化しない理由は何か / 過剰債務の罠と経済成長の関係 / 金融政策の出口戦略をどうするか / 「池の中の鯨」となった日銀 / 2006年の量的緩和解除が与える教訓 / 2015年以降も、日銀は国債買入を急にはやめられない / いま最も政治に求められる役割は何か
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