出版物

2012/08/10

精神論ぬきの電力入門

澤昭裕
新潮新書(2012年8月10日発刊)

なぜ議論がこんなにすれ違うのか?
「誤解」ばかりの電力問題を徹底解説!

【目次】

第1章 電力不足の打撃と損失
原子力発電所が全て止まったら / 節電のモチベーションとリバウンド / 大規模停電を知らない日本人 / 電気は「インフラ中のインフラ」 / 節電で企業が受けたダメージ / 年間3兆円の国富流出 / 電気料金の上昇を人件費に置き換える / 低所得者と寒冷地への打撃 / 値上げをどこまで受け入れられるか

第2章 原発依存にかたむいた事情と思惑
オイルショックの衝撃と教訓 / 「脱石油」と「電源多様化」 / 原子力という安全保障 / 経済性を追求した九〇年代 / 地球温暖化という新たな軸 / 鳩山首相の無謀な宣言 / 25%削減の切り札は原子力依存 / 原発停止という大番狂わせ

第3章 エネルギー政策の基礎とルール
エネルギー政策の基本は「3つのE」 / 震災によって入れ替わった優先順位 / 鳩山目標を取り下げるのは今 / 夢が叶うのは30年先 / 資源交渉の武器を確保せよ / 全部の卵を入れてはいけない / メリットとデメリットの検証 / 不利な契約条件のLNG / 最新技術を駆使した石炭 / いざという時の石油火力 / 明暗がわかれた原子力と再生可能エネルギー / 原発をめぐる二元論からの脱皮 / エネルギーに「正邪」はない

第4章 再生可能エネルギーの不都合な真実
「再生可能エネルギー法案」と脱原発は無関係 / 「固定価格買取制度」は消費者負担 / 負担額が高騰したヨーロッパ / この制度で技術革新はできない / あまりに少ない供給量 / 環境に悪影響を与える発電所 / 莫大なコストと土地が必要 / 自然をコントロールするコスト / 「環境先進国」ヨーロッパの実情 / 風力発電のグラフに隠されたからくり / 「脱原発」するドイツのしたたかさ / 個人任せのあやふやな計画 / ブームが過ぎても続けられるか / グリーンイノベーションは日本で起きない / サンシャイン計画の残夢 / 政策実施者と政策批判者

第5章 原子力をめぐる不毛な論争
それでも原子力は維持すべきだ / 技術と人材を無駄にしない / 「安全性」基準は政策目的ではない / 「命を守る」という抽象論 / シュプレヒコールでは何も動かない / 原子力への不信感はどこから来るのか / 安全を設備設計に求める日本人 / 危機対応力をつける方法 / 再稼働への高いハードル

第6章 賠償を抱えた東電の行く末
50年前の原賠法に書かれていること / 賠償責任から逃げた国 / 「天災地変」をめぐる駆け引き / 東京電力は生かさず殺さず / 「まな板の鯉」に民間の活力はない / 「現場力」は数少ない財産 / 利益が全て賠償に消える会社 / 原子力損害賠償スキームをどう見直すべきか

第7章 電力自由化の空論と誤解
自由化された電気料金は野菜の値段と同じ / 「自由化=値下げ」だという誤解 / 需要抑制手段は机上の空論 / 再生可能エネルギーと発送電分離は正反対 / 余剰設備のコストを誰が受け持つか / リスクの高い不安定な投資 / 電源多様化は個人でできない / 国際資源調達力の確保 / 分散型システムはリスクを分散しない / 発送電分離を民間企業に要求できない / 欧米の自由化で料金は下がったか / 自由化の弊害を解消するために

第8章 「東日本卸電力」という発想の転換 
日本における自由化の流れ新規参入は予想以上に伸びず / 「小売の自由化」と「発電の大規模化」 / 大規模卸電力会社と公平性 / 消費者のニーズにあわせて電気を売る / 原発事業を分離して電力会社を立て直す / 東京電力の将来像は「東日本卸電力」 / 9地域独占は戦後の混乱期に生まれた / 東日本と西日本で分ける必然性 / 全員が不満なのはいい政策の証

新潮社で購入 Amazonで購入
出版物の記事一覧へ
Copyright © The 21st Century Public Policy Institute, All Rights Reserved.
一般社団法人 日本経済団体連合会