出版物

2012/07/25

変貌する中国経済と日系企業の役割

渡辺利夫+21世紀政策研究所監修、大橋英夫編
勁草書房(2012年7月25日発刊)

中国は経済発展の「転換点」に入ろうとしている。高成長を続ける中国の労働市場・企業構造の変化を読み解き、日系企業がこれにどう適応し挑戦していくべきか、新たな課題を提示する。

中国経済は、やや減速傾向を見せ始めているものの、他国に比べてなお格段に高い成長を遂げています。一方、中国の高成長はその経済構造にさまざまな変化をもたらしつつあります。
 労働市場における需給の逼迫は顕著で、農民工に代表される未熟練労働力の賃金上昇も生じています。賃金上昇は「世界の工場」中国の地位を揺るがし、付加価値の高い産業へのシフトや貿易構造の変化を求めつつあります。さらに、「ボリュームゾーン」と呼ばれる中間消費市場の拡大といった消費市場の変化も注目されています。
 本書は、そうした問題意識のもと、中国経済に生じている労働市場・消費市場・企業構造の変化について多角的に分析すると同時に、「転換点」に入ろうとする中国経済に対して日系企業がどのように対処し戦略を構築すべきかについても検討し提示したものです。

【目次】

監修者まえがき(渡辺利夫)

第Ⅰ部 労働市場の変容と中国経済の「転換点」

第1章 労働需給と賃金上昇:現状と展望[厳 善平]
 第1節 人手不足と賃金上昇の実態
 第2節 少子化と教育発展の影響:人手不足の虚実
 第3節 賃金上昇の背景
 第4節 人手不足と賃金上昇の今後

第2章 労働市場の多重構造と「ルイスの転換点」[馬 欣欣]
 第1節 2つの視点から見た労働市場の多重構造
 第2節 労働需給および賃金格差の変化
 第3節 農業過剰労働力の計測
 第4節 「民工荒」と「農民工賃金の高騰」の諸要因

第3章 産業・貿易構造の変化と発展方式の転換[大橋英夫]
 第1節 経済成長と産業発展
 第2節 比較優位産業の検証
 第3節 貿易パフォーマンスの観察
 第4節 産業発展の方向性

第4章 技術政策の現状と展望[金 堅敏]
 第1節 中国の技術力強化の背景
 第2節 「革新国」づくりに向けた政策展開
 第3節 「自主創新」政策推進の効果とその課題
 第4節 「自主創新」戦略の課題

第Ⅱ部 消費市場・企業構造の変化と日系企業

第5章 ボリュームゾーンの成長と企業戦略[丸川知雄]
 第1節 世界のボリュームゾーンの拡大
 第2節 中国のボリュームゾーンの拡大と苦戦する日本企業
 第3節 中国企業のボリュームゾーン戦略
 第4節 日本企業が中国のボリュームゾーンを攻めるには

第6章 中央企業の動向と日本企業への影響[北村 豊]
 第1節 中央企業 :「世界の大企業500社」に見るその躍進
 第2節 中央企業の実像と「国進民退」
 第3節 肥大化する中央企業とその海外進出
 第4節 日本企業は中央企業にいかに対処すべきか

第7章 環境を主軸とする構造調整と日本企業の役割[鈴木昌範]
 第1節 経済発展方式の転換と産業構造調整
 第2節 環境を軸にした産業構造調整
 第3節 環境各分野の課題と改善・発展計画
 第4節 環境分野での日中協力

第8章 日系企業の経営戦略の課題[朱 炎]
 第1節 日系企業を取り巻く経営喋境の変化
 第2節 日系企業が直面する経営困難
 第3節 経営上の課題ととるべき対策
 第4節 地域展開の調整

索引
Amazonで購入
出版物の記事一覧へ
Copyright © The 21st Century Public Policy Institute, All Rights Reserved.
一般社団法人 日本経済団体連合会