出版物

2011/07/21

中国経済の成長持続性―促進要因と抑制要因の分析

渡辺利夫+21世紀政策研究所監修、朱炎編
勁草書房(2011年7月21日発刊)

安定的な内需主導型成長が実現されていない中国経済の中期的な展望を持続的成長の促進ベクトルと抑制ベクトルの合成の中に見出す。

中国経済は、改革・開放をうたって以来、約30年にわたり圧倒的に高い経済成長を実現してきました。また、2008年のリーマンショック以降も、空前の財政出動と金融緩和による投資促進策を実施した結果、他国に先駆けてV字回復を実現しました。
 一方、本年3月の全人代で採択された第12次5カ年計画では、「輸出依存型・投資依存型から安定的な内需主導型へ」「低付加価値産業主導型から高付加価値産業主導型へ」という成長方式の転換方針が打ち出されましたが、その実現にはいくつかの困難も存在しています。
 本書は、そうした現状認識のもと、中国経済が成長を中期的に持続させるうえでの促進要因と抑制要因について、人口動態、所得格差、地域格差、環境・エネルギー、社会保障、対外関係など、さまざまな角度から7名の研究者が行った分析を集約したものです。

【目次】

監修者まえがき(渡辺利夫)

第1章 人口動態からみた経済発展の持続性[大泉啓一郎]
 第1節 中国の少子高齢化
 第2節 人口ボーナス論と中国経済
 第3節 中国の人口ボーナスの課題
 第4節 人口ボーナスと地域間経済格差

第2章   人の移動と社会の安定性
――天津市におけるサーヴェイ調査からのアプローチ[園田茂人]
 第1節 社会的流動性の高まりという時代背景
 第2節 天津市民の意識にみる時系列変化
 第3節 4つの社会集団/階層からみる「社会の安定性」

第3章 経済成長・社会的安定性と社会保障の役割[金子能宏]
 第1節 経済成長と社会保障制度
 第2節 所得格差の現状と所得保障制度の効果
 第3節 社会保障財源の選択と,財政金融政策,経済成長との関係
 補論 都市部家計と農村部家計を含む経済成長モデルによる分析(概説)

第4章 転換点を迎える中国の都市化[杜進]
 第1節 都市化の進捗
 第2節 都市化の中の農民工
 第3節 都市化の中の「土地」と「カネ」

第5章 低炭素社会構築に向けての戦略的課題[李志東]
 第1節 ポスト京都議定書の枠組み交渉戦略
 第2節 低炭素社会構築に向けた国内戦略と取組み
 第3節 低炭素社会構築の中国モデル:特徴と課題
 第4節 日本への示唆

第6章 対外的脆弱性の克服:摩擦と協調[大橋英夫]
 第1節 「輸出主導型成長」の検証
 第2節 貿易摩擦の深刻化
 第3節 内需主導型経済への転換

第7章 持続性に向けた内需拡大の政策・制度的課題[朱炎]
 第1節 個人消費拡大の制約要因
 第2節 内需拡大に関する政府機能の問題点
 第3節 産業転換の制度的障害
 第4節 中国の内需拡大と日系企業への影響

索引
Amazonで購入
出版物の記事一覧へ
Copyright © The 21st Century Public Policy Institute, All Rights Reserved.
一般社団法人 日本経済団体連合会