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2010/07/30

国際金融危機後の中国経済―内需拡大と構造調整に向けて

渡辺利夫+21世紀政策研究所監修、朱炎編
勁草書房(2010年7月30日発刊)

世界金融危機に襲われたすべての国の中で最も早い回復を見せ、さらに回復過程を終えて高成長過程へと転じてつつある中国経済の実態と課題を分析しています。

1997年の通貨危機から必死の努力で成長を持ち直したアジアを、2008年、再び深刻な危機が襲いました。米投資銀行リーマン・ブラザースの経営破綻に端を発する国際金融危機です。米国のサブプライム住宅ローンの市場崩壊がもたらした国際金融市場の混乱と世界経済の失速は、欧米諸国への工業製品の大量輸出によって高成長を回復してきたアジアにも波及し、輸出と海外直接投資の減少に直面することになりました。
特に中国では、外需や外資に頼る不安定な成長方式から、より安定的な内需主導型の成長方式へと構造転換を図ろうとしていた矢先の出来事でした。しかし、中国は、莫大な額に上る政府支出を梃子にして政策転換を図り、世界不況に見舞われたすべての国の中で最も早い回復を見せ、さらに高成長の維持を図ろうとしています。
本書は、以上の状況を踏まえ、中国がいかにしてこの危機を克服したのか、そして、危機からの回復過程で、中国の政策転換が、構造調整にいかなる課題をもたらしているかについて、気鋭の9名の研究者による分析を集約したものです。

【目次】

監修者まえがき(渡辺利夫)

第Ⅰ部 景気回復の進展と政策的背景
第1章 景気回復の進展と日本経済の影響(朱炎)
第2章 マクロ経済政策の変化と課題(田中修)
第3章 国際金融危機と金融政策(童適平)

第Ⅱ部 構造調整の課題と展望
第4章 労働市場の転換点と新たな発展段階(劉徳強)
第5章 政府機能の限界と「新たな公共」(内藤二郎)
第6章 農民工就業の変化と農村消費市場(寳剱久俊)

第Ⅲ部 環境問題への適応と国際社会との協調
第7章 中国版グリーン・ニューディール政策(李春利)
第8章 対外経済政策の再調整(大橋英夫)
第9章 国際金融危機と中国の成長モデル(杜進)

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