年金改革に関する提言(概要)

1998年7月27日
  1. 基礎年金部分については、税(消費税)方式にする。
  2. 厚生年金の報酬比例部分は廃止し、積立金を個人別勘定に分配して積立方式に移行し、民営化する。

    報酬比例部分を廃止のうえ、積立方式に移行するに際しては、次に掲げるスキームによる。
    1. 過去期間の保険料に対応した未積立債務をファイナンスする。
    2. 上記でファイナンスされた未積立債務と現存の積立金の合計を個人別勘定に分配する。
    3. 現役世代はこれまで払ってきた保険料に対応した分配金を受け取る一方、引退世代に対しては、現行どおりの年金を給付する。
    4. 現役世代が受け取った分配金は強制加入の企業年金等に移行する。
    未積立債務のファイナンスについては、次に掲げる方策をとる。
    1. 報酬比例部分の年金給付債務を、引退世代に対するこれからの給付の部分と現役世代がこれまで払ってきた保険料の積立金の部分に大別する。
    2. 引退世代へのこれからの給付については、各年度ごとの財政負担とする。
    3. 現役世代への積立金の分配については、積立金と、不足する部分については60歳時点で現金化できる交付国債でファイナンスすることとする。
    4. 財政負担および交付国債償還の財源のうち、200兆円については、永久国債の発行でまかなう。
  3. 課税繰り延べの税制優遇を与えた確定拠出型年金を導入する。全ての確定給付型年金について課税繰り延べの税制優遇を与える(受給時課税への一本化、公的年金等控除廃止、特別法人税廃止)。
  4. 企業年金について、情報開示を進めるほか、受託者責任を明確化する法整備を進める。
  5. 日本版IRA(企業年金に加入していない給与所得者を対象に、一定限度額内の積立金について課税繰り延べの税制優遇を与える制度)を創設する。

21世紀政策研究所