今日は21世紀政策研究所の中期的な研究課題について、述べたいと思います。
昨年の衆議院選挙の前に、われわれは日本経済の現状を表すデジタルマップを作りました。日本の社会を大都会と地方とに分けて、地方の経済活動が公共事業にどの程度依存するようになったのか、その時系列的な変化等もあわせて、新しい日本の姿を描き出そうとしたわけです。そこでわれわれが使った言葉の一つが構造改革でした。そして今日では、小泉内閣が成立し、「構造改革なければ景気回復なし」という流れになってきました。7月の参議院選挙の前に、もう一度新しいデータも付け加えて日本経済、日本社会のデジタルマップを作ろうと思っています。
問題は構造改革が何を意味するかということです。とりあえず銀行の資産から不良債権をつまみ出す、という作業が行われようとしています。これはよくよく考えてみますと、銀行が持っている債権の中から、返済に問題のあるものがつまみ出される、ということになります。事業会社の側でいえば、簡単には銀行に対して返済できない企業に新しい枠組みが用意されるということになります。これが時には会社更生法であったり、あるいは企業再生法であったり、あるいは一部債務の切り離し、債権者側からいけば、債権の一部放棄ということになるわけです。また、もう少し平常的な取引でいいますと、銀行の貸出資産の売却市場ができるということになるでしょう。いずれの場合も、事業会社にとっては個々の活動が持続性という面から問い直されることになるわけです。利益が出ない、赤字が続いている、そして債務超過に陥っている、借りた金が返済できない、こうした経済活動については、新しい視点からの見直しが必要だということになります。
われわれが参議院選前に、デジタルマップでもう一度日本列島全域を洗ってみようと思っていますのは、このようにキャッシュフローというかたちで付加価値が十分つけきれないでいる経済活動が、一体どの程度、そしてどのようなかたちで存在しているのかを明らかにする作業です。例えば、農林水産漁業という分野においても、借りた金がうまく返せないという領域が広がっています。ゼネコンとか小売、卸し、あるいは不動産業という分野においては不良債権の問題がしばしば議論されてきました。そしてまたこれこそが問題だ、というふうに言われているわけですが、実際にはもう少し広く、バブルとは関係のない農林水産漁業、あるいは旅館業、レジャー、そうした分野にも問題は広がってきているわけです。構造改革とは、こういう分野において新しい枠組みを用意することになるわけですが、それは旧来の経営になにがしかを加えるという程度では済まない場合が多いように思います。そういう意味において、構造改革は経営者そして本格的な経営革新ということに繋がるのではないでしょうか。どのような分野に、どのような問題点が存在しているのか、そこにおいて新しいマネジメントがどのようなかたちで投入されるのか、新しいリーダーが発見されるのかというテーマのように思います。
日本の政界には人材不足が甚だしいと言われていました。小泉さんが総理大臣になってみますと、海外の雑誌には、日本ではついにリーダーが発見されたという表現も出てきました。おそらく、日本列島全域の構造改革を考えますと、新しいリーダーが発見される、というところまでいかないと、このテーマは新しい解決方法を見出せないのではないかと思っています。今、デジタルマップの製作に全力をあげています。
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